HOME > 会長からのメッセージ











会員専用メニュー





会長からのメッセージ

「ラ・サールボーイとして生きる」
南北同窓会の交流を通じて
函館ラ・サール高校同窓会会長 齊 藤 裕 志
 
平川正徳氏を想う
 改めて「小松原vol.26」を読んでおりましたら、石井恭一先生が幾多の文献を渉猟してお書きになられた「丘を下っていった人」−聖ラ・サールの生涯− 待望の出版とのお知らせ記事が目に止まりました。石井先生快著の発行者有志代表でありました、故・平川正徳氏(4期)が、その文中で次の様に述べておられます。「出来ればすべてのラ・サールボーイ(現在の在校生・卒業生・鹿児島・函館合わせて約25,000人)に読んでもらいたいと思っています。・・・石井先生は生涯をかけて、いろんな事情で親と暮らせない子供たちの教育と生活を支えていらっしゃいます。その万分の一でもお手伝いする事は、聖ラ・サールに関する先生の著作を通じて、聖ラ・サールの理念に少しでも近づくことではないでしょうか。略」と。
 その後平川氏は病を押して、奥様同伴で函館においでになられました。私達函館同窓会役員の前で、聖ラ・サールの理念と共に、同窓会活動について話された時のご挨拶は実に水際立っておられ、「頭でわかっていてもいざ実践に移すとなれば、凡人にはなかなか難しい。同窓会が、同窓生がある種の気概を持ちながら、聖ラ・サールの理念を実践しましょう。そのためにも、各支部や各期から気概を持った士が出て欲しいと思います。」と本学同窓会の存在意義は、創設者である聖ラ・サールの理念にあるとばかりに話されたのを記憶しております。
 その後程無くして、平川氏は卒然としてあの世に旅立ってしまわれましたが、命を賭して聖ラ・サールの理念を拡めるべく、全国を廻っておられた事を後になって知りました。
 私は今でも時折、平川氏の意志を実践しているであろうかと、自分に問うことがあります。(氏との出会いまでに何の行動もとらなかった悔悟をもちつつも)氏によって同窓会活動の何たるかを知らされ、氏との出会いがラ・サールファミリーの一員としての名状し難い誇りと幸福へと導いてくれた様な思いがしております。忘れえぬラ・サールボーイの一人です。

ラベル理事長の決意
 昨年からラベル理事長と何度かお会いし、その中で理事長の決意の程をお伺いする機会がありました。「私はラ・サール会と同窓会の架け橋になりたい。あらゆる機会を見つけては、同窓生の皆さんへ聖ラ・サールの理念を伝えたい。」それと共に、皆さんは「同窓生として、同窓会として、世界中の貧困者や弱者に何が出来ますか?」とも問われました。
 私達は事ある毎にラ・サールの名前を出しますが、元総長であったパブロ・バステレチア修道士は「軽々しくラ・サールの名前を呼んではいけない」と言われたそうです。
 さらに現総長のBr.アルヴァロ・ロドリゲス先生は、2003年にメキシコで開催された世界大会で、次に様なことを述べられました。「自分がラ・サールの学生の頃は、今のラ・サールなんかよりずっと良かったのにと、過去を思い出すだけでは、ラ・サールの名前を廃れてしまい・・・略」(仕えるように召されて:訳 大友成彦)つまり同窓会の存在意義を我々に向かって問い質したのではないでしょうか。同窓会が昔を懐かしむだけの集まりであっていいのか。あの頃はよかったなぁと過去を思い出すだけの存在であっていいのかと。
 320年前、聖ラ・サールが多くの誤解、中傷、背信等の困難に直面しながらも、大変な忍耐の中で設立したラ・サール会を正しく認識しなさいと。
 話を元に戻しますが、80歳を間近にした老ブラザー・ラベル理事長の決意を厳粛に受け止めること、それに積極的に協力し、同窓生としてラ・サールボーイの義務を果たすべきと改めて考えております。
 また、世界の貧しい人たち、特に教育を受けられない子供たちに直接、間接に組織を通じてドネーションを贈り援助することなどが、今求められている事でしょう。東京支部の21世紀委員会活動などは、まさしくそれに相応い瞠目すべき活動だと思いますし、函館支部も加わり、南北同窓会支部が協力しあった一層の活動が期待されるところです。
 その他注目される活動を紹介しますと、特に鹿児島本部や函館の東北支部における、仙台ホームへの長年にわたる寄付行為等も特筆に値する活動と思われます。今後もこのような聖ラ・サールの理念に基づいた活動が多くなされることを願わざるをえません。

パルメニーの丘での出会い
 石井恭一先生著「丘を下っていった人」の中に、聖ラ・サールと無学文盲の隠修女ルイーズが、パルメニーの丘で出会い、ルイーズの「このお仕事は、あなたが受け持たれるお仕事です。」との言葉で、聖ラ・サールは神の勧めを感じとり、ラ・サール会の運営活動に戻る決心をしたと言われております。
 平川正徳氏にしても、ラベル理事長にしても、320年前に聖ラ・サールが掲げた理念を求め、実践すべく立ち上がったわけです。
 今後この理念を色褪せさせてはいけないでしょう。我々はそれらを受け継いだとしても、真にそれらを理解していなければ、モメンタムは低下してくるだけでしょう。聖ラ・サール自身の特徴は、彼自身が生きた時代にその現実に対して非常に深い関心を払っていたことです。その時代に深く取り込まれていたとも言えると思います。
 今まさにラ・サールファミリーの一員としての自覚と、迅速な行動が求められていると考えております。

〈鹿児島ラ・サール学園同窓会誌「小松原」第32号に掲載されたものです〉

 
2009年03月06日16時04分